
息子達と観に行きました。「俺、実はすごく"ロボジー"楽しみ」とつぶやいていた(反抗期の)長男の期待通り、とても面白い作品でした。なんというか、こういう直球勝負の作品は心のオアシスになります。
粗筋は、もう皆さんご存知の通り。中堅家電メーカーで、これまで白物家電を中心に商売していたキムラ家電の社長の思い付きで、二足歩行のロボットを作ってロボット博に出品することになります。ロボット制作を命じられたのは、これまで全く畑違いの職種で勤務していた小林(濱田岳)、太田(川合正悟)、長井(川島潤哉)の3人組。3人は会社に泊まり込みながら、必死でとりあえずの二足歩行ロボットを作りますが、完成間近に再起不能に壊れてしまいます。困った3人は、着ぐるみショーのオーディションと偽って、ロボットの内部に入る人材を探します。そこで選ばれたのは鈴木というおじいさん(五十嵐信次郎)。
以下、かなーりのネタバレです。
こうして完成(?)したロボット「ニュー潮風」は、一度きり、ロボット博でのみのお披露目だったはずが、会場でロボットオタクの女子大生葉子(吉高由里子)を事故から助けたことから、一躍時代の寵児に。あちらこちらでニュー潮風はキムラ家電のマスコットとして、ロボットショーを展開する羽目になります。
しかし、中に入っている鈴木は、とんだじいさんで、3人の弱味を握ってやりたい放題。その内、ニュー潮風の真偽にに周りから疑惑が生まれ、3人はいよいよ窮地に追い込まれます。
ロボットオタクの女子大生葉子の、ロボット愛が半端ではなく、彼女の所属するロボット研究会の主導で3人を大学に招いて講義を行うのですが、その場面での学生達の熱い討論がすごく良くて、ああ、もしかしたら、日本の未来はこの子(のような学生達)が築いてくれるんじゃないか?と、胸がじーんとしました。きっと、日本はまだ捨てたもんじゃない、と、勝手に思える位。
ラストでニュー潮風の偽造が葉子にばれて、葉子が復讐のため全てをマスコミにばらしてやろうといきり立つのですが、その直前に小林から受け取った設計図、それは正に、あの講義で学生達と共に議論してできあがったロボットの設計図。それを見て葉子は熱い思いが再び甦り…。
他の人はそんなに笑っていた場面じゃなかったけれど、私は、ニュー潮風がロボット博で有名になってしまったために、次にもう一度社長の命令でイベントをしなければならなくなった時の3人の困惑、ニュー潮風の中にもう一度入ってもらうのを鈴木に断られ崖から飛び込んでしまおうかと思い詰めていた所を、何も知らない白バイの先導で会場に行かざるを得なくなってしまった所(その時のBGMが「威風堂々」(笑))、ロボットの中に自分が入っている、と主張しても痴呆症だと誰からも相手にされなかった鈴木と再び巡り合うというオチ、の一連が、椅子が揺れる位笑ってしまいました。なんでだろう?中堅メーカーの社長の狸親父風な上に理不尽に思い付きで要求をする所などが、自分自身仕事上で経験がありよーく判るからか?勿論、他にも笑う所は沢山あって、本当にいい休日を過ごせました。

想えば、矢口史靖監督の作品は、「ウォーターボーイズ」を観た時に、ああ、こんな作品を息子と一緒に観れたらどんなにいいだろう、と思ったモノ。あの時3歳だった息子と、今こうして対等に映画館で初見で一緒に作品を観ることができるこのシアワセ!前述の「日本の未来…」的妄想もそうだけれど、色々な意味で夢をみさせてくれて、ありがとう!
(2012年邦画)