
2011年の12月に試写会で観ました。ただ、公開が2012年ということなので、「2012アジア映画」のジャンルに入れました。
とにかく大作なのは判った。オダギリ・ジョーの演技は、これまでの彼を見直す程凄かった。
でも、戦争の愚かさ・悲惨さを描くのに、どこか偽悪的なものを感じてしまって、心の底から感動した、とは言い難かったです。

ネタバレです。
日本占領下の朝鮮は京城で、将軍の息子長谷川辰雄(オダギリ・ジョー)の家に下働きに来た朝鮮人のキム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)。二人はお互いにかけっこが上手で、幼いライバル心をむき出しにしながらも、共に通りを駆け抜けていた。
しかし、将軍が暗殺される事態が起こり、二人の友情も引き裂かれる。その後、その事件が遠因となり、マラソンのオリンピック選考会ではジュンシュクの夢破れ、選手に選考されなくなる。
やがて第二次世界大戦が始まり、ノモハンで二人は再会する。ジュンシクは朝鮮から連行された日本人兵として。辰雄は日本軍の将校として。軍人として厳しく兵にあたる辰雄と、それを否定するも立場的に従わざるを得ないジュンシク。やがて辰雄の作戦ミスも手伝って日本軍は敗退。二人はソビエト軍の捕虜になり、シベリア送りとなる。もうその時点で、ジュンシクは辰雄の部下ではなく、二人はことごとく対立する。シベリアの労働は過酷な上に、凍傷にかかった者は容赦なく切り捨てられ、二人の対立だけではなく、裏切りや追従によって同じ民族同士も仲間割れしてしまうような環境だった。
そんな中、ソ連軍によって、ソ連兵として戦地に送られた二人。そこで闇雲に突進するソ連軍将校に、辰雄はかつての自分の姿を見る。二人は生き残り、負傷しながらも助け合いながら戦地を後にする。九死に一生を得た辰雄だが、やっと友情が芽生えたかと思えたジュンシクとは離れ離れに。そして辰雄は今度はドイツ軍兵士として、ノルマンディーの戦地に赴くことになる。そこで辰雄はジュンシクを探すのだが…。

どんな状況下でも、常に自身のプライドを持って、マラソンの練習を続けるジュンシク。ラスト、故郷に帰還するのはどちらだろうか?本当に大切なものって何なのだろう?
一旦敵同士になると、真の和解ってやはり難しいのだな…と、国境を越えて思う。長きに亘って苦しんだ二人。本当の相互理解は、未だに茨の道なのだ。
(2012年アジア映画)