2011年の、本当に最後の最後に観ました。言ってみれば、2011年のラストを飾る作品。それなりにいい作品だと思います。たぶん、これを10代、もしくは20代の前半に観ていたら、もっと心に残る作品だったでしょう。情緒的なのに現実的で、ファンタジーなのにその架空の心の痛みがよく判る作品。とてもおしゃれで、アクター&アクトレスは新鮮で、秋から冬にかけての短い期間を切なく温かく描き切ったと思います。
ただ、ひとつだけ、あまりにも美し過ぎて、ポエティックで、「これでいいのだろうか?」という気持ちは正直ありました。私も汚れた大人になっちまった、ということです。
デニス・ホッパーの忘れ形見、ヘンリー・ホッパーは、凄くいい。
単純にストーリーのみのネタバレです。
事故で両親を失い、自らも3か月(この3か月という単位がポイント)昏睡状態で、両親と最期の別れができなかった少年ノーイック(ヘンリー・ホッパー)。彼は死と向き合えなかったその喪失を埋めるかのように、赤の他人の葬儀に参列して回る。そこで、癌で余命3か月の少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)と出会う。彼らは意気投合し、来るべきアナベルの死に備えて、二人で準備を始める。アナベルと出会う前からノーイックの元には、特攻隊で死んだ日本人の少年ヒロシ(加瀬亮)が友人として現れていた。最後に死地に赴くアナベルをエスコートしてくれたのは、そのヒロシであった。
ガス・ヴァン・サント監督の撮るものは、本当に切なくて、胸がきりきりとする作品が多いのですが、この作品も確かにそうなのだけれど、美し過ぎた感はあります。
だから若干表層的な印象を受けました。
(2011年洋画)