すごく良かったです。どう良かったかというと、ビジネスのあり方や、人生の選択のあり方や、人と人との繋がりのあり方や、とにかく「あり方」について考えさせてくれる作品だったから。これまでの雰囲気重視のスカウトのやり方をデータ重視のものに変えていく、という、今でこそ当たり前の考え方なのだけれど、先鞭をとったアスレチックスのビリー・ビーンGMはやはり凄く、決断の人だったと思います。
貧乏球団アスレチックスのゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、高い年俸を支払えないため、スター選手の流出を防ぐことができず、又、新たなスター選手を雇い入れることもできない。球団のスカウト達は、これまで通りのありきたりな選手トレード論で進むのみで、どうしても物足りなさがあった。このままでは、ある程度の勝利やリーグ優勝はできても、ワールド・チャンピオンになるには程遠い。そんな時、ビリーは他球団のデータ分析家、ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)と出会う。彼には野球経験はないものの、そのデータ分析からくる理論的な選手選別は、ビリーに「マネーボール理論」を実践するに至らしめたのだ。周囲から叩かれながらも、彼らは理論的なチーム作りを始めて行く。そして、やがて結果は出る。
自身が若い時にメジャーリーガーだったものの、結果を出せずに、人生の選択を誤ったのではないか、とまで感じていたビリーが、貧乏球団を一流球団に仕立て上げて行く所がある種のアメリカン・ドリーム。そして、彼自身の生い立ちのために、単なる冷酷なGMではなく、選手の心にまで踏み込んだ人柄となったところが見事。信じる道を生きて行くことが大切だ、ということ。又、何事にも勉強というものは大切だということ、が身に染みる作品でした。判ったかい?息子よ!「ゼネラル・マネージャーになりたい」とか意味も判らずほざくんじゃないよ、ホント。勉強しなさい。
(2011年洋画)