再びコンペティション。監督のトニー・ケイは、「アメリカン・ヒストリーX」の監督なんですね。それにエイドリアン・ブロディを主役に添えて、アメリカ映画としてはコンペというより主役クラスの作品だと思います。

荒れた高校に臨時教員として赴任してきたエイドリアン・ブロディの目を通して、高校生たちの荒んだ日常、そこからの再生や脱落などを描いた作品。無難にまとまっていたと思います。よくある青春モノとは違い、教師たちの葛藤もよく描けていました。しかし、現代っ子なのは高校生ばかりではなく、教師(エイドリアン・ブロディ)の方でもあったりして、他人との距離感を常に保ちながら、実際にはあがこうとしてもそこまでまだ到達できない、というか、どこか醒めた人生観を持っている現代っ子気質が如実に表されていました。距離を縮めようとする人との対人関係が彼には実はイチバン苦手なことで…。
実際、町で出会った家出少女が彼の元に居ついて、しばらく生活を共にするのですが、正に現代っ子の典型というか、相手の人生には極力踏み込まないようにするタイプで、遂には彼女を保護監察官に追いやるような形の別れを迎えます。又、とある女子高生と、スタンスを一定に保とうとする教師との間には真の理解関係は生まれず、ラストには悲劇が待っています。

とはいうものの、高校教師もの、荒んだ生徒たちの心と教師の絆を描いた作品なら、「フリーダム・ライターズ」の方が断然良く、カタルシスも半端ではなかったので、この「デタッチメント」はそれに比べると、少し小品かな、という感想を持ちました。
(2011年洋画/東京国際映画祭)