
昨年の東京フィルメックスで観て、その頃の香港映画の公開頻度はじり貧で、もう二度と劇場で観ることはないだろう、と思っていただけに、今回のロードショー公開はとても嬉しかったです。

最も好きなジョニー・トーが監督としてではなくプロデューサーとして関与。監督はあの「ドック・バイト・ドッグ」のソイ・チェン、とくれば、観たくない訳がない。疑心暗鬼が破滅を招くオハナシ。偶然を装って完全犯罪を実行するルイス・クー率いる犯罪チーム。綿密に計算された殺人計画は、風が吹けば桶屋が儲かる形式で、ひとつの偶然が他の偶然を呼び起こし、全くそれとは気づかれずに完遂される。しかし、もちろん、ひとつのミスが命取りで、綻びが出始めると疑心暗鬼の渦に巻き込まれ、坂道を転がるように終末へと向かっていく…。
ああ、本当に香港映画ってヤツは、長さといい、まとまりといい、私にとっては文句無しなのだ。原題が「意外」というのも、すごくいい。

それにしても、ルイス・クーは出世したよね。彼を観たのは「OVER SUMMER 爆裂刑事」が最初だったと思う。あの時の自信なさげな、でもただ闇雲に突き進む若造から、いまやラム・シューを顎で使う役柄だよ(笑)。
(2011年アジア映画)