
こちらも三大映画祭で鑑賞。
内戦で混乱を来たすチャドの、明日の見えない政情の中に生きる人々の生活をしみじみと描きながら、誇りと折り合いを交互に胸にしながら。ラスト父子の乖離と遭遇には胸を打たれる。
内戦で混乱しているチャド。アダムは白人相手にホテルのプールの監視員をしている初老の男。生活は苦しいが、かつて水泳のチャンピオンであった誇りを胸に、プールに関わる仕事に携わっている。

同じホテル内で働く仲間たちは、新しい支配人に次々と首を切られ、自分も屈辱的な配属転換を命じられる。更に、自分の後任となったのが、愛してはいるがちゃらちゃらとした態度で勤務を続けてきた自分の息子であることを知り、内心穏やかでない。
やがて内戦の影響はすぐ身近に訪れ、アダムは地元の有力者に対して、息子を兵隊に差し出さなければならなくなる。そして、あろうことか息子は戦地で負傷してしまう。息子を迎えに行く父アダム。後悔と自責の念に苛まされ、息子を乗せた車椅子を押すアダムは、あんなに愛した水辺のほとりで息子の最期を看取ることになってしまうのだ。
(2011年洋画/三大映画祭)