
三大映画祭週間で鑑賞。この三大映画祭というのは、東京では8月中旬から9月下旬までヒューマントラストシネマ渋谷やシネマート新宿で開催されていた。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア、と、世界の映画祭でそれぞれに誉ある賞を受賞しながらも、これまで日本で公開されていなかった、知る人ぞ知る名作を一挙公開。今年2011年は、そのうち2本を鑑賞した訳である。
この「キナタイ-マニラ・アンダーグラウンド」では、マニラの陰部、凄まじく暴力的で残酷で歪んだ容赦ない人間性を見せ付けられる。リンチ殺害で血の付いたYシャツを新品の白いそれに淡々と着替える警察幹部の描写がリアルで恐ろしい。

警察学校に通う若い男ペッピングは、若い妻と幼い子供を持ち、来るべき未来に貧しいながらも胸を膨らませていた。しかし、若い彼の給料では、マニラで相応の生活をすることもままならない。そこで、警察幹部に誘われて、闇の仕事を始める。暴力と汚職のはびこったマニラ警察では、日常の当たり前のこととして行われる、殺人とその隠蔽の請負…。

急激に飲み込まれていく若者の運命に、抗うこともできず、というよりむしろ望んで参加したものの、現実のギャップとに一気に老成してしまったかのようなペッピングのラストシーンの表情が痛い。それにしても、これほどまでのグロ、これほどまでの残酷シーンが映像としてあって良いのだろうか…?平和な日本の中でも平和な人間関係の中に暮らしているのだ、と思い知らされる。
(2011年アジア映画/三大映画祭)