
アサシンの宿命に痺れる。達磨法師の遺骸を巡って、虚虚実実の駆け引きの中、隠密集団達が暗躍する、正にREIGN OF ASSASSINS。強引だけどしっかりとしたストーリー展開と、「死して屍拾う者なし(by大江戸捜査網)」的な厳しいアサシンの世界観、宿命と人の性(さが)に想いを馳せさせる、意外と深遠なテーマ。ミシェル・ヨー姐さんは、年増呼ばわりされながらも実に美しくアクションは健在、チョン・ウソンは、あの非の打ちどころのないハンサムなのに何故か間抜けに見える顔が(いやこれはどの作品でも「あほ面…」と思っているのですが大ファンですよ、念のため)、後半きりりと引き締まるや否やもう素晴らしいアクションの連続で…まったくもって満足でした。愛の切なさも、素敵。

以下ネタバレです。
明王朝時代、達磨法師の遺骸を手にしたものは、武術界で最強の力を得られると信じられていたため、各権力者がそれを入手するため凌ぎを削る。暗殺集団「黒石」は、遺骸を手に入れようと時の宰相を暗殺するが、メンバーの細雨の裏切りにあい、達磨法師の遺骸は上半身と下半身とに分かれていずこへか行方知れずとなる。
細雨は姿形を変え(ミシェル・ヨー)、世を忍び生きて行くが、やがてある町に辿り着き、そこでひっそりと生活していく内に一人の男(チョン・ウソン)に出会う。純朴な男と恋に落ち、互いに契りを交わす仲となる。しかし、「黒石」のボスが自分を裏切った細雨の首に懸賞金を賭けたことから、細雨は命を狙われることになる。戦いに次ぐ戦い。しかし、最後に細雨の心も命も打ち砕いたのは、あの愛する夫の正体だったのだ。

この作品はジョン・ウーが制作・共同監督を務めたのがウリのひとつではあるのだが、やはり香港映画好きとしては、ミシェル・ヨーのアクションとチョン・ウソン役どころ、というのが魅力のひとつであろう。
(2011年アジア映画)