
シニカルなユーモアを漂わせつつの、本格的なサスペンス。本当に面白い映画は導入部からどきどきわくわくさせるものだが、この作品の冒頭も正にそれ。そして、ラストときては…!間違いなく私の今年のベスト10に入る作品。ユアン・マクレガーはすごく上手だし、テーマも鋭く、切ない。いい意味で色々と裏切られる。一食抜いても観るべき作品!

以下ネタバレです。
離島へ向かうフェリー。一台、又一台と次々と車がフェリーから降車していく中、最後にたった一台の車が取り残された。車の持ち主は、フェリーの上から投身自殺を図っていた。そしてそれは英国の元首相、アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼された一人のゴーストライターであった。
売れないライター、ゴースト(ユアン・マクレガー)は、後任として執筆の依頼を受ける。孤島に渡り、アダム・ラングと生活を共にし、インタビューをしながら自叙伝を書き進むゴースト。
しかし、徐々にラングの過去は黒いものだったのではないか、と疑念を抱くようになり、やがてラングの過去を暴こうと試みる。そしてそこには様々な障害が現れるのである。
そんな中、更に、ラング自身が暗殺されるに至って、巨大な権力の隠された陰謀が、ゴーストにも判ってくるのである。

全てに於いて、淡々と、しかしながらドラマチック。極めて映画的な作品。ラストシーンの、原稿がイギリスの街で風に煽らればらばらと飛び散る様は極め付け。
私が結構気に入ったシーンはラングの妻にベッドに誘われたゴーストが、別室で鏡に向かって「Bad idea!」と呟くシーン。「やめとけ」とかなんとか字幕では出ていたけれど。そのユアン・マクレガーの可愛かったこと!(笑)結局一夜を共にしてしまい、翌朝守衛さんに「昼も夜もお疲れ~」みたいなことを言われるんですけど(笑)。
(2011年洋画)