もともと、「きみに読む物語」で顎がはずれる位に呆れてしまった経験があるし、ラッセル・ハレストレム監督とは最近相性が悪いので、観た私に責任がある、と言えばあるのですが…。
無い、でしょう。これは、無い。出会いからあっという間に燃える恋や、離れ離れになって余計に募る愛おしさ、とか、それは、判る。よく描けていると思う。そこまでは、いい。もっと言えば、戦場でジョンだかジャックだかが(名前を忘れる位ステレオタイプな漢)撃たれる所までは、いい。でも…。
いや、無いよ。本当に。がっくりしちゃう位に。それとも、私の知らない世界って、こんな風に回っているの?と思うほど。
まあ、ヒロインもヒーローもお二人とも今後の人生頑張ってください…。という感じでした。

どの位無いか、という、少しネタバレです。
米軍特殊部隊の兵士ジョン・タイリー(チャニング・テイタム)が二週間の休暇を故郷で過ごし、そこで出会ったのが帰省中の女子大生サヴァナ・カーティス(アマンダ・サイフリッド)。二人は恋に落ち、甘く切ない二週間の休暇を共に過ごします。
どちらからともなく将来を誓い合った二人ですが、やがて時は来てジョンは赴任地へ戻り、二人は手紙のやりとりを拠り所として愛を育みます。ジョンは任期が満了したら、故郷に戻ってサヴァナと暮らすことにします。しかし、そこであの9.11事件が起こり、ジョンは愛国心からもう一度任務に就くことを決意。時は流れ、いつしかサヴァナから戦地への手紙は届かなくなり、やがて結婚を告げる別れの手紙が…。
さらに時は流れ、数年後、戦場で傷つき戻ってきたジョン。そこで彼は驚愕の事実を知ります。サヴァナの結婚相手とは、サヴァナの隣の家に住んでいた、自閉症の息子を持つ男やもめだったのです(実はジョンの父も自閉症)。その彼がガンに侵され余命いくばくもないと知ったサヴァナは、彼の息子の面倒を生涯見るため、彼と結婚。財産も彼の治療費に殆ど費やし、夢だった競走馬育成牧場も今は寂れ、孤独でわびしい生活を送っているのでした。

これを純愛物として読み取れる人は幸福である、と思うので、それは人の好き好き、責めたりはしません。でもね、無いよ、これは無い…。
(2011年洋画)