ふらっと観に行った割にはなかなか良い作品に出合ったと思います。

「前科者の嫌な女」これが主人公に対する最初のイメージ。心を閉ざし、優しさを失くし、出所後に、盲目の神父に届けられる手紙を読んで返事を代筆してあげるという仕事に対しても真摯ではなく、途中で面倒になってきて前庭の場所に手紙を捨ててしまうという所業に出たりするのですが、彼女の過去の全てを知った上で赦している神父との生活により、段々と頑なだった心にも、フィンランドの春の訪れに柔らかな光が差してくるように、溶け出していくのです。そこに至るまでに自暴自棄になる時もあるのだけれど…。
ラスト、彼女の過去が明かされる場面では、ぐっとくる、という以外に表現の仕方がみつかりません。これからの彼女の人生、淡々とではあるけれど、豊かなものであってくれるよう願わずにはいられなくなるのです。

(2011年洋画)