
いわゆる鉄道パニックものです。暴走列車が…それを止めようとする…と、割にお馴染みな題材。ちよっと食傷気味なのは確かで、同じ監督作品の「サブウェイ123 激突」なんかはもう全く覚えていない、と言っていい位なのだけれど、今度のこの作品は、登場人物の描写が優れていて、とても面白かったです。事故回避のパニック映画というだけでなく、今アメリカの雇用が抱える問題点とか、組織で働く者が抱えている色々な思いをベースに物語が動くので、非常に社会性があり、とても見応えのある作品でした。デンゼル・ワシントンが、冴えない労働者風にちょい太って老けて演技しているのもなかなか良かったです。

24時間後に退職を迎えるフランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)は(しかもその日は愛娘の誕生日)、機関車1206号に乗り込むも、そこに同乗するのは、会社の経営者一族の出身で優遇されている、と、噂されている若造のウィル・コルソン(クリス・バイン)。ぎこちないまま運転は始まるが、やがて重大な事故が路線で起きていることか判明する。すなわち、大量の化学物質が搭載されている機関車777号が、制御不能になって暴走している、というのだ。現場を知らない無能な重役連中の立てた対策はことごとく覆され、有能な現場女性上司コニー(ロザリオ・ドーソン)のある種の賭け…それは即ちフランク達を信じて、777号の最後尾に彼らの乗った1206号を連結させ、動力を抑えて大惨事を防ごうと試みる…。

年の離れた同僚同士の、結局は心意気と鉄道を愛する(そして安全を守る)気持ちが一体化して、という、一般人にしてみるととても安心できるストーリーで、そう、ホントになかなか良かったです。
(2011年洋画)