
とても面白かったです。古くは「ゴッド・ファーザー」のような、香港映画なら「インファナル・アフェア」のような、血脈と地脈のがんじがらめを描いた作品として非常に秀作。正に「強盗こそ、われらが宿命」の、ボストンに生きる犯罪一族出身者ベン・アフレックが、息をするように犯罪を犯し、そして破滅していく哀しい様を描いていきます。逃れられない生い立ちからくる運命と、自発的に発生する愛との狭間で苦悩する主人公の描き方が見事。壊れていく、と判っていながら、抵抗できない宿命。映画的にも非常に美しくて緊迫感のあるシーンばかり。花屋の殺傷シーンで相手の耳元に口を寄せるベン・アフレックはこれまで観た中で一番カッコ良かったし、ラストの家庭菜園でのレベッカ・ホールはぐっと切なかったです。

ここからネタバレです。
ボストンはチャールズタウン。好むと好まざるとに関わらず、犯罪一家に生まれたタグ(ベン・アフレック)は、その"家業"から抜け出したくても結局は叶わず、強盗団のリーダーを行う日々。しかし、凶悪な親友ジェム(ジェレミー・レナー)達とは違い、どこか紳士的で理想家なので、ある日の銀行強盗で人質にとった女性店長クレア(レベッカ・ホール)を好きになり、やがて足を洗って真人間になりたい、と願うようになります。
人質にとったクレアに対しては、最初は自分たちの犯行を覚えているのではないかと疑って確かめるために近づきますが、次第に本気になっています。が、仲間に対する裏切りは許さない、とばかりに親友達がチャールズタウンから出て行こうとするタグを阻止し、一方で銀行強盗団を挙げたいFBIはタグに追及の手を伸ばし、タグは血脈と地脈と愛情の狭間で雁字搦めになっていくのです。

結局は逃れられない運命と判っていながら、愛に賭け、カウントダウンを迎えるタグ。タグの心を疑いながらもタグを庇ったり、タグを信じられなくなったり、揺れ動くクレア。ホントにホントにラストは落涙でした。犯罪集団の血脈・地脈の崩壊の様も畳み掛けるようでスタイリッシュ。
(2011年洋画)