
原作は「息子を奪ったあなたへ」。突然の事故で最愛の息子を失った母親が、その喪失感をどのように埋めていくのか、人生に対してどんな風に折り合っていくのか、等の感情面と、テロリストによって奪われた生活、の実際面について、とても期待して鑑賞に望みました。が…。
はっきり言って、ユアン・マクレガーとミシェル・ウィリアムズの無駄遣い。突然の爆弾テロによって幼い息子を失ってしまった母親の気持ちは、因果応報というにはあまりにもむごく、現場で息子を探し回るその姿は痛々しすぎて目を覆いたくなるものだけれど…。感情移入できるのは、その場面を切り取って、あのウサギのぬいぐるみを切り取って、そこだけ。あとは何かわざとややこしくしているようなストーリー展開で、驚愕の事実、とやらも、何だか、ね。

それが偶然だったにしろ、自分は不貞行為中だった時に起こった爆弾テロで最愛の息子を失って、ヒロインはどんなに自分を責め、パートタイムラバーの相手を責め、真っ白い灰のような気持ちになってしまったことだろう。どうしても自分で子どもを探したい!と爆破現場のサッカースタジアムに行って、二次災害に巻き込まれ意識を失うその気持ちも判る。何も考えられないまますごす日々の中、テロリストと目される人物の息子の後を、我知らず尾行してしまう気持ちも判る。その少年に、もう決して訪れることのない、我が子の成長した姿を重ね合わせてしまう気持ちも判る。だからこそ、警察の銃弾を身をもって庇った咄嗟の行動も判る。
でも、なんというか…そう、それだけ、なんです。そこには何かの邂逅とかそういったものは一切ない。ちょっと勿体無さ過ぎる、と思います。
(2011年洋画)