
ドニー・イェンとサモハン・キンポーの共演ですよ!導演ウィルソン・イップですよ!見応え満点。とにかく、技の切れ方が半端じゃない。特にサモハンとドニーの丸テーブルでの使い手など。群集アクションシーンもすげぇ。あの、いつもながら早過ぎて見えないドニー・イェンの手さばきも冴え渡る。そして、今回は題材が題材だけに、天下一のナルシスト(である筈の)ドニーさんの抑えた演技が又ツボにはまって(…生まれて初めてこの作品でドニー・イェンを見た人は誤解するだろうなぁ…という位に、イップ・マン氏はなごみキャラなのです)、やっぱドニーさんに過剰な演技は不要なのだ、と再認識させられたのでした。
配給・公開の色々なご都合があり、この葉問をPartⅠの序章よりも先に見たのだけれど、前作を観ていなくても全く遜色のない出来栄え。いや、むしろアクション・シーンにのみ視点をを置けば、サモハン・キンポーとのサシ勝負、魚市場の群衆アクションは、それだけでも1本の映画が撮れてしまう位の秀逸さ。
とにかく、すごく贅沢な、すごく血湧き肉踊る作品。息子に見せたいです。
ここからネタバレです。
香港に移住して、詠春拳を教えるイップ・マン(ドニー・イェン)に対し、もともと地元にいた武術家達は快く思っていません。町で地元のチンピラに襲われるイップ・マン。そして、彼の地のボス的存在洪拳のホン(サモハン・キンポー)が。各門の師匠と対決をして全員に勝たなければこの地では武術を教えられない、とするのです。
各門の師匠と戦い、これを倒し、最期にホンと対決するイップ・マン。この、丸テーブルを使った格闘は見事。芸術の域に達している、正にカンフー映画史上に残るであろう名場面です。闘い終わって同志愛が芽生えた二人ですが、イギリス政府が西洋人と東洋人を戦わせてショービズにしようともくろみ、そこにホンが乗り込んで、民族の誇りを賭けて戦うも、愚弄された上に敗れるということをきっかけに、イップ・マンの静かな闘志が燃え盛るのです。

前・後編通じて中国の武術、中国の民族の誇りを賭けた作品となっています。しかし、そこに静かで穏やかなイップ師匠が登場すると、その力の入り方のバランスがとれて、ストーリー展開としても感情移入できるものでした。イップ・マンの妻や子供に対する愛情もなかなかいいんだなぁ。
(2011年アジア映画)