面白かった。単純なホラーではなく、オリジナルの神話のようなものが隠されている。
希代のクリエイター達が、誰の予想も裏切る展開になるよう仕掛けたものだが、きちんと練られたストーリーとオチが本当に面白い。途中の怖がらせ方も半端ないし。いや、ゾンビはああでなくちゃ、でしょう。キッカケや小道具もそれぞれイイ感じ。
人里離れた森の中の小屋(キャビン)に集まった男女5人。これから起こる事を知る由もない、浮かれたパーティー気分。
騒いで楽しんで、そして彼らはその小屋の中に謎の地下室を見つける。
ここから少しネタバレ。
地下室にはアンティークなものやガラクタが所狭しと置かれ、それぞれ気になるものを手にとったりしてみる。しかし、それが悲劇の始まり。彼らは一人ずつ、そのアイテムに因んだ方法で殺害されていくのだ…。
怖いのよ、本当に。わっ!という驚かし系じゃない怖さ。それぞれのアイテムに関連づけられた死に様や、不気味なゾンビ達。正統派の怪奇物。
ここから本格的なネタバレです。
実は彼らは監視されていて、彼らがそれぞれのアイテムに関連づけられて殺されるのも、監視者の仕組んだ事であった。
…と、ここまではよくある話。
でも、ここからは確かに想像しなかった。
5人の内、生き残った男女2人は、自分達が仕組まれて殺されている事に気付く。必死で逃げようとするが、もちろん逃げられやしない。次々襲い来る不気味なクリーチャー。しかし、例えば漫画だったりしたら、監視者が見守るスクリーンの向こう側には沢山の視聴者(あるいは退屈を持て余した金持ちとか)がいて、莫大なベットが動いているとか、そんな感じのオチかな?と思うところだが、そうではない。
そんな、金持ちとか、猟奇趣味の快楽とか、チンケなレベルではなく、見えざる手、とも言うべきもの。
つまり、彼らはそこに捧げる生贄だったのである。
生贄の象徴のようなレリーフが張り巡らされた部屋に辿り着いた時、そしてそこに監視者のディレクターが説明に現れた時(これがまたシガニー・ウィーパーなんだ!)、彼らは悟る。古の昔から、生贄は捧げられて来たのだ、と。そう、それは世界中で。それでどうにかこうにか、人間達は今迄生き延びてこられたのだと。多くの人間達は何も知らないけれど…。
しかし、2人が最後まで生き延びてしまった事により、歯車が狂ってしまった。まるで生態系が狂ってしまったように、人間達は、滅亡に向かって行くしかないのだ。そう、本当にこのまま2人が生き残ってしまえば。
古き良きホラーや伝説と、現代的な空間の使い方…例えば、逃げのびようとする2人が透明なキューブに乗って移動する所など…が融合して、独特。まさかそんな展開とは!がもたらす快楽。
そう、本当に伝説的な作品になるかも。
世界中でこれまで起こって来た、怪奇現象のフラッシュバックに日本の学校が出て来たのは面白かったです。
(2013年洋画)