是枝監督作品にしては、小さくまとまった感じ。疑問点や胸が塞がれるような感覚や、いつも是枝作品を観終わった後に感じるものが、無い。でも、そういう所が、商業的な邦画の良さ、とも言えるので、好き好きなのかもしれない。私はミーハーなので、夏に鹿児島に行った時にJR鹿児島駅のあの階段の場所で写真撮ったりしたけれど、わずかに小学生の子供たちが、あの場所から小さな冒険を始めるのは、とても勇気が必要で、でもわくわくしたことと思う。そんな子供に対する温かい視線がひしひしと感じられた。
ここから少しネタバレ。
両親の離婚によって、鹿児島は桜島と福岡とに離れ離れで暮らす兄弟、航一と龍之介。彼らはいつも電話で連絡を取り合い、互いの近況と、互いのかつて両親だった父親と母親のそれぞれの近況を報告し合っている。ある日、開通したばかりの九州新幹線の「つばめ」と「さくら」がすれ違う地点で願い事をすれば、その望みが叶うという都市伝説を聞き、二人の兄弟は、すれ違いのその場所で落ち合い、一番大切な願い事をしようと計画を立てる。小学生の幼い二人の、友達を巻き込んだ冒険旅行は始まるのである。
親切な大人の助けも借りて、彼らは彼の地に辿り着く。そこで彼らが発した願い事とは…。
桜島の降灰と、母親の頑なな潔癖さが対比的に描かれていて、ちょっと母親の描き方が切なかったな。だけど、兄弟を引き離しちゃいかん、両親よ。自分たちが別居しても、兄弟を引き離しちゃいかんよ。
(2011年邦画)